経営管理システムとは何か(3)

第3回 経営目的

経営管理の「仕組みの設計」と「仕組みの運用」について、その中身の検討に入る前に、経営目的について概念整理をしておきたいと思います。

「経営目的」とは、その名が示すとおり経営を行う目的に他なりませんが、企業は「経営理念」と「経営ビジョン」を通じて、自らの経営目的を内外のステークホルダーに表明します。まず、経営理念とは、「ステークホルダーに対して自社はどのような価値を提供するのか」といった組織の存在意義を示すもので、不変性の高い意思表明です。また、経営ビジョンとはその経営理念のもとで、「どのようなステークホルダーに対し、製品やサービスを通じてどのような価値を、どのような方法で提供するのか」を具体的に表現するものです。すなわち、事業としての方向性や組織としてのあるべき姿についての意思表明で、環境変化に応じて変化しうる点が経営理念とは異なります。

いずれも組織の外部ステークホルダーに対する意思表明であると同時に、内部ステークホルダーである社員にとっての究極の目的となります。そして、この経営目的に向かって「協働」が促進されるには、当該目的が単なるスローガンではなく、真の意味で社員に共有され、かつ、意識の中に浸透することが必要なのです。