経営管理システムとは何か(4)
第4回 組織構造の設計
ブログの第4回から第6回は、経営管理における仕組みの設計に関する議論で、最初は「組織構造の設計」についてです。
事業が拡大し複数のメンバーで仕事をするようになると「分業」が開始されます。つまり、会社全体の業務を細分化し、数名から数十名のメンバーで構成されるグループに業務遂行の責任と権限を与えます。そして、タテ・ヨコの連携を促進するための「調整」が必要になることは第2回のブログで述べましたが、この分業と調整の体系をデザインすることが組織構造の設計に他なりません。
このように組織設計の目的は、一義的には組織内に分業と調整の体系をつくることなのですが、組織は戦略の実行手段としての側面を持つため、戦略との整合性に留意する必要があります。例えば、原材料の集中購買など規模の経済を追求する事業戦略を採用したならば、専門性を活かせる機能別組織を採用し、市場ニーズや技術の変化が速い環境での適応力を高めるならば事業部制組織を採用するといったイメージです。
しかし、どのような組織形態をとったとしてもそれには必ず短所があるため、その短所を補完するような仕組みも併せて設計する必要があります。例えば、機能別組織を採用しているトヨタ自動車では、製品開発力を高めるために開発車両ごとにチーフエンジニアを任命し、開発プロジェクトチーム内のヨコの連携を促します。あるいは、取締役会の下にQCD上のクロスファンクショナルな会議体を設置し、トップの部門間の調整負荷を緩和しています。