企業の経営ビジョンと経営管理
経営管理とは、企業が将来に向けて描いたビジョンを実現するための全社的なマネジメントであると考えます。すなわち、経営戦略を策定し、各部門の実行状況を測定し、その過程で発見された課題や問題点に対して対策を行うという「PDCAサイクル」を廻すことだと考えます。PDCAを効果的かつ効率的に廻すためには、戦略策定と統制の仕組み・組織設計・業績評価方法といった経営管理のハード(仕組みの設計)的な側面と組織文化や人材開発などのソフト(仕組みの運用)的な側面のレベルアップが必要です。我々あこうは、この経営管理の「仕組みの設計」的な側面を「経営管理システム」と定義しています。
ものづくり企業の戦略 ー 中長期の成長戦略と短期QCD問題解決 –
ものづくり企業が持続的に成長を続けるためには、①将来に向けての成長戦略の立案と実行、②既存事業におけるQ)品質・C)原価・D)納入に関する問題解決、を同時に行うことが必要です。では、成長戦略はどのような方法で策定し、実施と統制を行えばよいのか。例えば、中長期の戦略計画でターゲット市場・製品開発・経営資源の活用方法など事業の方向性を定め、実行計画として原価企画活動を実施するという方法もあるでしょう。また、短期的なQCD問題解決については、例えば年度の方針管理で目標値と改善方策を管理し、予算管理とセットでPDCAを廻すという方法も考えられます。
ものづくり企業の組織 - 会議体と委員会の設計 –
戦略を実行するのは組織であり、機能別組織と事業部制組織のどちらを採用すべきか、そのもとで部門をどのように分化すべきかといった問題が組織の中心的テーマであることに間違いはありません。しかし、組織設計で重要なのはそれだけではありません。どのような組織形態をとろうとも必ずある程度のセクショナリズムは発生し、長所と短所があるものです。そのため、組織がよりよく協働するためには分化した組織同士の連携が必要となるため、機能会議や委員会といった調整の仕組みが必要になります。つまり、戦略を実行するのに必要な基本となる組織構造を設計するとともに、各種会議体や委員会といったその組織の持つ短所を補うような仕組みも同時に設計する必要があるのです。
KPI – Key Peformance Indicator の設計
KPIとは、経営戦略や実行計画、あるいはより具体化された方策が予定どおり実現に向かって進捗しているかを測定するための重要管理指標です。実行段階の節目節目において、目標値と実績値の差異を測定し、実績値が目標値を下回っていれば即座に是正措置をとるという「統制」あるいは「制御」のために用います。そのため、どのような指標をKPIとして採用すべきかが「適切な計画と統制の仕組みづくり」にとって極めて重要になります。しかし、KPIの選択が重要なのは、それが実行状況の統制に使われるだけではなく、組織や個人の業績評価にも利用され得るからです。あるいはその評価システムを報酬とリンクさせるのであれば、社員のモチベーションにとって多大なる影響を及ぼすことでしょう。つまり、KPIには「計画と統制システム」と「業績評価システム」との結節点としての機能があり、その点を踏まえてどのような指標をKPIとするのかを検討する必要があるのです。
実効性のある経営管理システムの構築
世の中には「こうすればうまくいくよ」といった様々な経営理論があふれかえっています。しかし、実効性のある経営管理システムを構築するためには、これら数多くの経営理論に振り回されることなく、自社の内外環境を十分考慮したうえで、何を導入し何を導入しないかを意思決定する必要があります。そして導入したそれぞれの経営管理の要素を有機結合させ、効果的つ効率的にPDCAを廻す仕組みとして機能させる必要があります。あこうでは、クライアント企業様のニーズをお聴きし、実効性の高い経営管理システム構築のお手伝いをいたします。